ブラック企業と鬱化する社会 その2 実はみんなが嫌いなホワイト企業

前回、ブラック企業はブラック消費者が作り出したと書きましたが、ではなぜ消費者はブラック化するのでしょうか? ブラック化する理由は貧困化にあります。
例えば今問題になっていることはワーキングプアです。ワーキングプアは働いても生活が楽になるどころか貧困化していく状態のことを指します。

なんだか矛盾している気がしますが、例えば給料から健康保険、年金、市税といった税金を差し引いた手取りから、賃貸料や水道ガス光熱費といった生活インフラコストを差し引くと、ギリギリというボーダラインの人達がたくさんいます。
体を壊したり、何かしらの大きな金額が掛かる出来事が重なったり、例えば妊娠や出産といったことが起きると、綱渡りのような生活はすぐに破綻してしまいます。

かと思えば、国民の生きる権利である生活保護では、ワーキングプアの人よりも多く受給でき、税金も免除という実態があります。これは明らかに矛盾しています。働くより働かない方が儲かり、楽ができるのなら、働いたら負けということになってしまいます。

労働者がワーキングプアに陥る最大の原因はデフレです。デフレというのは物価の価値が下がる現象です。
例えば5000円くらいで売られていた衣類が980円くらいでどこでも買えるようになり、250円で売られていたハンバーガーが100円以下で買えるというような価格破壊がどんどん起こってくるのがデフレです。

ではどうして価格が破壊できるかというと、為替レートや通貨価値が低い国で労働者を雇い安い賃金で働かせ、輸入しているからです。日本国内では最低賃金という縛りがありますが、賃金の安い外国なら同じ物を作るのであれば絶対的に価格差が生じます。この価格差を利用して儲けているのが日本の基本的なビジネスモデルなのです。

日本の産業を空洞化してでも海外に生産拠点を置いて(海外の労働者にお金を上げて)成長してきたわけですから、いずれグローバル化によって市場が接続して近接すれば、そのしわ寄せが来ないわけがないのです。
時間差はあれど、右手に持っている札束を左手に移動したに過ぎないのです。

デフレによって労働者の賃金が海外企業、海外資本に押し負けると、当然のことながら賃金が下がります。
消費者はお金が無いのでなるべくお金を使わないように考えます。
お金がない消費者にお金を使わせるには価格を安くするか、信じられないようなサービスをするしかないのです。

しかし、これを一度やってしまうと、そもそも赤字ギリギリでやってきた個人商店や、個人事業主は価格面で押し負けてしまいます。資本のある企業は、しばらくは低価格路線でも持ちこたえられるかもしれませんが、個人商店や、個人事業主はたまったものではありません。
マクドナルドや牛丼チェーン店の低価格路線が示したことは、価格を低くすれば一時的に個人商店や、個人事業主に流れていたお金を吸い取られるが、パイ自体を大きくしているわけではないので、いずれは枯渇するということです。焼畑農業なのです。

個人商店や、個人事業主といった零細企業がなくなると、いよいよチェーン店化が進みます。
競合他社に多様性がなくなり、そのエリアが独占状態になります。
つまり、低価格化で中小企業を蹴散らせると、低価格路線に対抗する他社が存在しなくなり、ますます低価格化が浸透することになります。

そもそも市場のパイが増えているわけではないので、寡占状態となっても急には価格を上げられません。
低価格をやめてもお客がついてきてくれるわけではなく、むしろ、低価格化に慣れてしまい元々がぼったくりだったと考えるようになります。「おまえらは儲け過ぎだから今こそ安くしろ」というわけです。

顕著なのがアパレル業界です。ここ何年かの異常気象によって季節ものがまったく売れないことがありました。
在庫を吐かないと売り場が使えず、流行にも乗り遅れてしまうため、業界は在庫一掃セールを乱発しました。
しかし、セールを乱発したせいで、ブランドに対するロイヤリティが低下し、顧客は都合の良い金ズルだったことに気が付かされました。
一度このカラクリに顧客が気付けば、いかに売価がぼったくりなのかを学習してしまいます。

安くないと買わない、ということは、その中にいる人達は儲けなくてもよい、ということです。
低価格高品質のサービスを期待するということは、中の人は当然のことながら、低所得重労働をせざるを得ない、ということを意味します。土日にお店を開いているのなら、休まず働いている人達がいるということです。

ブラック企業=ブラック消費者なのです。
それがようやく認識されはじめたのですが、議論はなぜか代表的なブラック企業のトップを糾弾する風潮になってしまっています。ここが矛盾しているのです。

なぜなら、ブラック企業がなくなってしまうと、当然のことながらホワイト企業は正規の価格を顧客に要求するようになるからです。割高になるはずです。
社員の残業代を残らず利益に上乗せするでしょうから、価格は非常に割高になります。
そうなると、ワーキングプアでギリギリの生活をしている人は、ますます格差が生じることになります。
市場原理では、もっと物価を安くしろ! ということになるでしょう。
日本はもはやブラック企業なしではやってはいけないのです。

続く。

ブラック ワーキングプア
ブラック ワーキングプア
ブラック ワーキングプア
ブラック ワーキングプア

【引用元 goo イメージサムネイル】

関連記事