邪悪になるGoogle アンドロイドの野望 中編

前回、Googleのプライバシーポリシー変更についてお話をしました。
ではどうして、プライバシーポリシーを変更したのか?
これは多分ですが前回お話したFacebookとの競争激化が関係していると思われます。

広告収入で売上を順調に伸ばすFacebookは、同じく広告収入を主な収入源としているGoogleにとっては強力なライバルです。

ビジネスの規模においても、GoogleとFacebookはまったく異なります。
どちらも無料のサービスですがGoogleの方が多方面でサービスを展開している分、その維持コストは非常に高いのです。にもかかわらず無料です。
その無料サービスを支えるのは広告収入です。
なにが言いたいかというと、Googleは大食漢で、Facebookは偏食だということです。

問題は、ネットは無限でも広告主の数は有限なので、今後サービスを展開し充実させるだけでは意味がないことです。
広告主(収入源)が増えない限りは、土地や建物を増やしても維持費が掛かるだけだからです。
維持費ではFacebookには勝てないGoogleは、別の方法で勝負をすることになります。

それがユーザーの実像特定と広告主への還元です。
要するに、ユーザーを追跡し行動を把握してより精度の高い個人情報を広告主に提供することで、広告の費用対効果を高め、広告主に還元することです。

Googleの方が極めて高い広告効果があるとするならば、他のサービスでは広告を出さなくなります。
サービスは増やせますが、広告主はそう簡単には増やせないからです。
ただし、極めて高い広告効果を望むには、一線を超える必要があるのです。
Googleのプライバシーポリシー変更は、その一線を超える封印を解き放った、ということです。

しかし、妙だと思いませんか?
Googleのプライバシーポリシー変更はわざわざする必要はないはずです。
というのも、そもそもGoogleが3月1日を境にして個人情報を横断的に利用していないはずはないからです。

表には出さないようにして、裏で処理すればいいからです。
きっと以前からユーザーの特定はされてきただろうし、それが広告に反映されていただろうと思います。

プライバシーポリシー変更をすることで、広告主にこれから広告をもっと阿漕に出せますよ、というアピールをするため、とも考えられますが、ユーザー離れの方が深刻のような気がします。

プライバシーポリシー変更についてはEUでも問題になっていてるし、日本の総務省が適切な運営を要請する事態となっています。
政府が一企業にこのような要請をすることは非常に珍しいと言えます。

キッカケとなったのは、一連のGoogleの個人情報収集疑惑です。
アメリカではグーグルストリートビューを作るために定期的に現実世界を巡回しているグーグルストリートビューカーが個人のWi-Fi(無線LAN)を無断で傍受していると避難されています。訴訟に発展していますが、今の所、傍受したデータは断片的でGoogle側は故意ではない、と主張しています。

実際のところは分かりませんが、無線機器は今やそこら中にあります。
無線マウスや無線キーボードもあります。またWi-Fiのホットスポットも増えてきています。悪意があれば個人のWi-Fiホットスポットから個人情報を故意に取得し保存することも可能です。
当然、平文のパスワードやカード番号などは丸見えです。

他にもブラウザのIEとSafariでプライバシー機能を迂回してユーザーの動向を追跡するコードをGoogleが使っていたことが問題になっています。
どういうことかというと、例えばあるサイトAを見ていたとします。
サイトAを見ている時は、サイトAにアクセスしたという履歴が残ります。

通常は、ドメインの違うサイトBに移動すると、サイトをまたぐため、それ以上はユーザーを追跡できなくなります。
これは現実に建物を移動するのと同じです。人が別の建物を移動すれば、その建物にはいないので、その建物では人を見つけることができなくなります。

しかし、方法があって、サードパーティCookieというものをユーザーに持たせることによっていわば発信機を付けた状態にすることができます。
当然、サイト間を移動すれば発信機によってユーザーを追跡できるという仕組みです。

Cookieというものが何かについては省略しますが、簡単に言うとブラウザにパスワードなどを保存しておく機能です。これがよく使われると思います。
通常はCookieはそのサイトの中だけで有効です。しかし、ある裏技によって別のサイトでもCookieを読み取ることができるのです。

もちろんブラウザにはセキュリティ設定というものがあって、今見ているサイトから別のサイトのCookieを読み出せなくなっています。
プライバシー機能というものが備わっています。
ところが、これをGoogleが裏技を使って迂回していたというわけです。

例えば、Googleで検索をしたとします。ユーザーは検索結果が表示され、その中のリンクをクリックすると、Googleを離れていきます。
追跡はここまでです。Googleではない別のサイトに移動するからです。

しかし、もし追跡が可能であればどうなるのか?
検索結果のどのキーワードをクリックしたかはGoogleは分かります。
さらにそのサイトのどのページにどのくらいいたかが分かります。
またそこに表示されているアドセンス広告や+1ボタンも分かります。
時間差からユーザーがそのサイトで何をしたかが分かります。

移動が早ければ気に入った情報ではなかった、ということだろうし、別のページまでの移動に時間が掛かっていれば、なにかしらユーザーが気に留める情報があった、ということが分かります。

つまり、検索キーワードと検索結果がそのコンテンツ内容とユーザーの嗜好にどれだけ適合しているのかが分かります。
ロボット巡回と字句解析だけではコンテンツ内容は判断できません。

そこでユーザーを追跡することによって、ユーザーの嗜好をフィルタリングとして使うわけです。ユーザーに人気の高いサイトは検索上位にランクインします。逆にユーザーが不快なサイトは検索結果を下げることになります。

そのユーザーは何が好きで、何を求めているか? ということは、ユーザー自身に聞いたほうが早い、というわけです。
人間の感覚を使うので、情報鮮度と精度も高いのです。
すなわち、より適切な広告を出せるというわけです。
この件に関してはマイクロソフトがGoogleを避難する事態となっています。

まだあります。それは携帯です。
Googleが提供しているAndroid携帯がありますが、Androidアプリの6%が個人情報を外部無断送信している、というニュースが報道されました。
携帯にはGPS(位置情報)の他、電話帳や写メなど個人情報がわんさか入っています。無料のゲームをしているうちに個人情報を無断でサーバーに送信するアプリが見つかったというわけです。

こういったことからGoogleの個人情報の扱いが懸念されるようになったのです。
他にも今後何か怪しいものが見つかるかもしれません。
Googleは企業理念の中で「邪悪になるな(Don’t be evil)」と掲げていますが、傍目から見るGoogleは邪悪な方向に向かっている気がします。

後編に続く。

関連記事