ギリシャユーロ離脱秒読みか 前兆の取り付け騒ぎ 後編

年明けからずっとフランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相の会談がニュースで報じられていましたが、ギリシャ危機に対して各国がどれだけ救済できるか、そしてギリシャをどのようにして建て直しできるかというものでした。

EUの中で景気が良いのはドイツです。
フランスはEUの中でも大きな国です。
景気の良いドイツにしてみれば放漫財政によって自爆したギリシャになぜ血税を注ぐのか?! という反ギリシャ感情が沸き起こります。当然と言えば当然です。

ドイツはEU離脱してもなんとかやっていけそうだからです。

フランスのサルコジ大統領はドイツのメルケル首相をずっと説得し続け、ようやくではみんなでギリシャを救いましょう、という話に持ち込めたかのように見えた矢先に大統領選でまさかの敗北です。
話し合いの中心人物の一人が消えたわけですから混沌と化します。

さて、当のギリシャですが、大混乱が起きています。
問題の中心である国ですから、当然のことながら今までのようなやり方を許されるはずがありません。各国が大金(税金)を出し合って救済する以上は、なんとか再建してもらう必要があります。
緊縮財政をしなければなりません。

緊縮財政というのは要するにケチケチ財政です。
必要な支出以外は全てカットされ、非常に厳しい節約を強いられます。
当然槍玉に挙げられるのは、ポピュリズムの元になった公務員の削減です。
年金支給も大幅にカットです。

するとどうなるかというと、緊縮策を断行しても過去の決まりごとは変わりませんから、家のローンを払えない、年金で生活できない、再就職しようにも雇用がない、ということになります。ギリシャは元々産業に乏しく、観光業が主だったため、公務員が増えていった経緯があります。

仕事がないところに生活費も削られ、そして国からの補助もない、となるとどうなるか? 若者と老人の失業率が異常に高くなっているのです。
貯蓄がなくなれば飢え死にすることになります。生活保護も期待できないので、致命的です。暴動やデモも相次いでいます。

▼緊縮財政のギリシャで自殺者が急増、抗議の焼身も
http://goo.gl/2jeNS

ニュースでは緊縮策で困惑するギリシャ国民程度に報じられていますが、実際には、緩やかな大虐殺に近いことが起きています。国による見殺しです。
産業が乏しい国で生活をしていくには仕事が必要です。しかし仕事がないのです。

すると外国で就労することになるわけですが、今度は移民問題が発生します。
EUでの平均的な失業率は10.8%なのですが、25歳未満の若者でみるとなんと50%になっています。半分が働きたくても働けないのです。

▼ヨーロッパの失業率

▼ヨーロッパの失業率の上昇と経済的な危機
http://goo.gl/TZzje

他所の土地から安く働きたいという人達がやってくれば、当然その国で仕事をしたい人達の仕事は奪われていきます。
どこにいっても仕事がないような状態です。

▼欧州ヨーロッパの移民政策

濁世を渡る方便もここまで行き過ぎると、武骨者のそれがしには、分かりませぬ。売国政治屋売国官僚が大勢おるそうではござらぬか。それが不思議でなりませぬ。金の魔力か。正さねば!

ではギリシャは緊縮策に納得するかというと、そうではないようです。
ギリシャでは緊縮財政の路線を決定する協議が難航し決裂しています。
ここは当然、緊縮策を全面的に受け入れるべきなのでしょうが、前述したように国民に大量の死者が出る事態になりかねません。

民主主義の怖いところで、外国からの支援策の条件である緊縮財政は総選挙で連立与党過半数の議席が必要です。5月9日に行われた選挙前の連立協議では物別れに終わっています。

つまり、このまま6月17日に行われる総選挙を迎えれば、緊縮策反対派が勝利することになり、ユーロ離脱のリスクは高くなるということです。
ユーロ離脱ということは、ギリシャが破綻し借金を踏み倒すということです。
我慢するくらいなら、無一文からやりなおした方がまだマシということです。

実際この可能性がどのくらい高まっているのかというと、既にギリシャ国内で銀行預金を引き出す取り付け騒ぎが起きています。
ギリシャがEUを離脱すると通貨はドラクマに戻るわけですが、ユーロと比較して通貨価値は2割程度しかありません。

そのため今のうちに銀行からユーロを引き出し、海外逃亡を計ろうと準備を進める人が増えているのです。
その額はおよそ15日までで7億ユーロ(約710億円)に達しているそうです。

▼ギリシャで“取り付け騒ぎ”か!預金の引き出し7百億円に
http://goo.gl/ORMx9

そんなお金があるなら自国の借金の返済に使えとヨーロッパ中から突っ込みがありそうですが、ギリシャ人は世界平和よりも、個人の幸せを選択したわけです。去年から世界各国がギリシャ問題について真剣に議論してきた
結果がこれだと人間というのはいかに強欲で愚かな生き物かと思わずにはいられません。

ギリシャがユーロを離脱決定後の話です。
声明と同時にギリシャ債を持つ投資会社や銀行は格下げされ、連鎖的に倒産し、ヨーロッパ中にパニックが広がります。
ギリシャからスペイン、イタリアと飛び火します。スペイン、イタリアはギリシャとは規模が違うので、もはやIMFでみんながお金を出し合って救済できるレベルではないため、実質的にギリシャを食い止められなければ、EUは崩壊します。

ヨーロッパの主要取引相手である中国も大打撃を受けます。
さらに、中国の主要取引相手である日本も大打撃を受けることになります。
この流れは一瞬で起きます。発表は市場が閉鎖している夜中に行われるはずです。

ネットワークが繋がっているので、恐らくは市場が始まる前に機関投資家による引き上げが終わり、一般の人が騒ぐ頃には預金が封鎖されているかもしれません。わずか数時間です。翌朝には電車が頻繁に止まる騒ぎになるはずです。

日本ではあまり報道されていませんが、ギリシャ危機は深刻なのです。
6月17日と6月18日とではまったく違った日になる可能性は高いのです。
まさかそんなことは起きないだろう、と思っている人も多いかと思いますが、民主主義による多数決というのは、時には最悪の結果を導き出してしまう可能性を持っています。

民主主義で想定している民というのは、あくまでも自国の民です。
世界の住民ではないのです。そのため、政治家は世界の民のために動くと、選挙では負ける可能性が高いのです。自国の国民を不幸にしてまで、世界のために動く政治家は世界的には評価は高くても、国内では人気がないということでしょう。

それはフランスでもドイツでも同様です。サルコジ大統領は選挙で負け、メルケル首相の与党も支持率を大幅に下げています。
少数の人達が世界の命運を左右する。恐ろしい時代です。

関連記事