売られる日本 中編

その鍵を握るのがクレジット・デフォルト・スワップです。
Credit default swapは「CDS」と略されます。
CDSは金融派生商品のひとつです。

金融派生商品は高度な金融工学によって算出されたギャンブルのようなものです。
色々とありますが、CDSの特徴は賭けの対象が債務不履行に陥ったら、掛け率に応じてお金を支払いますよ、という商品です。

例えば、Aという会社があるとします。B社はA社に設備投資のお金を貸し付けたとします。もしA社が倒産すれば設備投資として貸し付けたお金は返ってきません。リスクを抱えることになります。

そこでC社が間に入って仲介手数料をもらい、リスクを肩代わりします。
つまり、仮にA社が倒産してもB社は取りっぱぐれることはないというわけです。

さらに仲介するC社は一社でリスクを抱えるというのもなんなので、そのリスクを高度な金融工学によって算出し、株式のように第三者に売り出します。

つまり、赤の他人がA社が潰れるか、潰れないかで賭けを行う、というわけです。もし潰れるほうに賭けていれば、A社の倒産時に多額の支払いを受け取ることができるというものです。

A社やB社にしてみれば赤の他人の第三者が自分たちの債務で賭けをしているのですからいい迷惑です。
しかし、こうでもしないとリスクの仲介は成り立たないのです。
リスクを細分化し売りに出すことで、よりリスクを回避するためのセーフティネットが出来上がります。

とにかくCDSは他人の不幸で賭けをするギャンブルだと思って下さい。
しかし、このギャンブルも通常の枠を超えた異常事態には対応仕切れません。
例えば、サブプライムローン問題に端を発する株価などの下落や企業の破綻の急増、貸し倒れ債権の増加は想定外です。

サブプライムローンのCDSは、例えるなら宝くじで1等が数百万人まとめて出てしまったようなものです。宝くじは支払額が当選額を超えるということはないので、明らかに異常事態です。

CDSには深刻な問題点があります。
それは何かと言うと、「何もないところに価値を勝手に定義し、それをやり取りすることで利益を得ることができる」からです。

古くはユダヤ金融に端を発する錬金術なのかもしれません。
CDSの仕組みがどれだけヤバイかは動画があるので閲覧をオススメします。
非常に分かりやすく、「何もないところに価値を勝手に定義し、それをやり取りすることで利益を得る」

方法が解説されています。

▼お金ができる仕組み。銀行の詐欺システム

動画が面倒で見たくないという人は簡単に説明します。
例えば、SUICAというプリペイドカードがありますが、試しに1万円分自販機で購入したとします。この時、SUICAにも1万円分の価値がありますが、同時に自販機にも1万円があります。合計すると2万円です。
自販機の中の1万円は支払ったものなので使うことはできません。カード所持者にとっては現金を電子マネーとして等価交換したことになります。

しかし、経済全体で見るとお金が二倍に増えているのです。
自販機の中の現金はJRが実際にお金として使うことができます。
ならば、JRの中の人が自販機のお金を使ってSUICAに1万円を入れるとどうなるか? 当然、SUICAに1万円が入金され、さらに自販機にも1万円が入ります。

これを繰り返して行くと元金を減らさずに無限にSUICAにお金が入金できることになります。実際には有り得ない話ですが、理論上はそうなります。

流れとしてSUICA所有者が1万円を使い切った後に、自販機の1万円を使うのであればいいのですが、実際にはSUICA所有者もJRも同時に1万円を使用する可能性があります。錬金術としか言い様がありません。

さらにSUICAのカードを増やしたり、それを担保に売買をすればいくらでも儲かるし、価値は増殖して行きます。
問題は実体経済以上の価値が創造されてしまうことです。
日本のSUICAは問題はないですが、金融の世界では上記のことがまかり通っています。ある意味、金融工学の賜物(たまもの)です。

続く。

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