シンギュラリティと大失業時代 その8 計算格差社会の予兆

シンギュラリティがもたらす未来は、今の我々には想像もつきません。
アップルがタッチパネル式のスマホを出すとは思わなかったように、過去描かれてきた未来イメージが今とは全く異なっていたように、そのディティールは予測不可能です。

ただし、確実に言えることは格差は生まれるだろう、ということです。
例えば、コンピュータが小型化し、スーパーコンピュータ並の性能を持ち、テラバイトの通信ができたとします。
当然、そうなれば人体に直接接続する、という発想が出てきます。

映画のマトリックスのようにコンピュータデバイスを直接装着できて、感覚的に操作できるようになると、人間の知能は均一になります。
分からないことはネットで調べることができるので、分からないことは投げたコインの裏表(未来事象)ぐらいになります。

何かを知っている、という知識は職業の差であり、記憶はその人の個性を作り出しています。
しかし、こういった知識や記憶が共有できるようになると、もはやその差異はわずかでしかありません。

計算が苦手な人もいなくなります。暗記という作業も不要になります。
知りたいことを都度、データベースから引き出せばいいからです。
知能は均一化していきます。
知能が均一化すると、どこに人間としての価値が出てくるのでしょうか?

人間の価値は演算力(計算力)に顕れると予想されます。
2009年7月23日のニューヨーク・タイムス電子版にはこんな記事が載っています。株のトレードをミリ(1/1000)秒単位の差で売買することで儲ける、というものです。

これはどういうことかというと、じゃんけんをする際に究極に速い遅出しをすることで勝利する、ということです。
2012年に人間に絶対負けないじゃんけんロボが話題になりましたが、仕組みはこれとまったく一緒です。

▼じゃんけんで人間に絶対負けないロボットが日本で発明される

▼人間に絶対負けないじゃんけんロボット動画

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=3nxjjztQKtY]

株というのはトレンドを見ながら売り買いします。
株で儲ける方法は、その他大勢のプレイヤーが売りと買いのどちらに動くかを予想し、その逆に張ることです。
基本的には安い時に買って、高い時に売って差額で儲ける、というシンプルなものです。

通常、売買には時間が掛かります。
オンラインでできるようになったといっても、やはり多少は時間が掛かります。
売却するか悩むこともあるでしょうし、端末のレスポンスや処理時間もあります。

この時間というのは、じゃんけんでいってみれば手を出す前の素振りのようなものです。
つまり、素振りを手を出すギリギリまで監視しておいて、相手の手が確定する前に手を確定することができれば、市場を出し抜くことができるわけです。

ゴールドマン・サックスなど一部の銀行が採用しているもので、高頻度トレード(HFT=High Frequency Trading)と呼ばれています。
あるいはアルゴリズム・トレードなどと呼ばれています。

やり方はシンプルです。
超ハイスペックなコンピュータをニューヨーク証券取引所に持ち込み、他のヘッジファンドや個人より0.03秒だけ速く株価情報を得て売買をします。
これで年間何兆円という利益を上げているという内容です。

彼らにしてみれば個人投資家はカモネギに違いありません。インチキと言えばインチキです。
機関投資家は取引手数料が安いので勝てるわけがないのです。
なんといっても神の目と神の手があるわけですから。

たった0.03秒の差ですが、これはとても大きいのです。
他者よりも必ずわずかでも速ければ、速く動ける者にとって遅い者は止まっているも同然です。
時間が静止しているようなものです。
計算格差(コンピューティング・デバイド)社会です。

このようなことがもし対人で起こるとどうなるでしょうか?
最近ではメンタリズムという他人の心を読むエンターテイメントが流行っていますが、同じ事ができてしまいます。
そして、その差は、実装しているコンピュータの差によって決まります。

よりハイスペックなコンピュータを実装している人間は、相手の行動を先読みすることができます。
これがもしマーケティングに悪用されれば、セールスを断ることができなくなるかもしれません。

続く。

【引用元 goo イメージサムネイル】

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