北朝鮮の金正日死去後の国家情勢は危うい 前編

2011年12月17日に北朝鮮の国家主席である金正日(キム・ジョンイル)が死去したと報じられました。死亡が報じられるまで51時間もの時間が掛かったことから、後継者への権力移譲に問題が生じたのではないかと推測されています。

金正日の息子は金正恩(キム・ジョンウン)で若干28歳の若さです。
後継者指名には以前から長男の金正男の問題などがあり、非常に国内外で注目されていました。
金正恩については北朝鮮国内でもほとんど情報がなくベールに包まれているとされています。

さて、問題は北朝鮮が今後、どのような対外政策を打ち出してくるかです。
予測されているのはこのようなシナリオです。
北朝鮮は今年に入って日本や韓国で起きたような台風による被害が起きています。ただでさえ飢餓状態に陥り、毎日停電が続く中での自然災害は、貧しい農村部だけではなく、これまで比較的食料の配給が受けられていた兵士にまで影響が及んでいます。

北朝鮮は、外国から食糧支援を受けるためこれまで核開発やミサイルの発射という瀬戸際外交を続けることで、なんとか引き出してきました。
アメリカや日本は食糧支援をしてきたのですが、食糧支援をしても核開発をやめなかったり、軍事演習をやめないなど、度々裏切られてきたため、経済封鎖を行いました。

その後、北朝鮮は深刻な飢餓状態に陥っています。
人道支援をしようにも食料が真っ先に軍部にいってしまうため、末端の都市部以外の農民には支援の手が届かないとも言われています。

北朝鮮は核開発を中止するよう迫るアメリカを敵国として認定しており、まるで昔の日本のような状態です。
そんな北朝鮮を戦略的に支援しているのが大国として成長した中国です。

中国は北朝鮮と500キロに及ぶ長い国境を接しており、歴史的には北朝鮮を侵略した国ではあるのですが、あることをキッカケにして親密になっています。それは中米関係の悪化です。

北朝鮮は南の韓国とも国境を接していますが、その韓国とアメリカがFTA(関税廃止)を結んだことで経済的に親密になっています。
不利な条項は中国から韓国を守るための用心棒代わりと囁かれています。
TPPで中国を除く環太平洋諸国が経済連携をすると、ブロック経済が生まれ、太平洋と東アジアの覇権を狙う中国は包囲される形になります。

中国にとってもっとも恐ろしいのは世界一の軍事力を持つアメリカです。
そのアメリカの基地が日本にあり、そして今年に入ってイラクから撤退したアメリカ軍はオーストラリアに駐留しています。
中国は経済的にも軍事的にも包囲されつつあるのです。

そこで重要になってくるのが北朝鮮の存在です。
北朝鮮は地雷のようなものです。核を持つ中国とアメリカがやり合うわけには行かないので、代理国が戦争をすることになります。
北朝鮮を使って韓国を攻撃する、北朝鮮を使って日本を攻撃する、どちらもアメリカへの牽制になります。

北朝鮮を崩壊させないようにして、活かさず殺さず支援することで、中国は北朝鮮を盾にすることができます。
そして、北朝鮮は中国から支援を受けることで、それだけ現在の独裁政権が長く続くことになります。

日本は正直、脱アメリカを目指したいと考えています。
普天間基地の移設問題や、アメリカ国債の維持、TPPの問題など、政治家はハッキリとは言えませんが、アメリカによる日本経済の干渉を疎んじています。
かつては世界の警察から、今や世界の問題児、嫌われ者となっているアメリカとの関係を改善したいと考えているのです。

そうなってくると、日本はアメリカと敵対しつつある中国、そして韓国、北朝鮮との関係も考慮することになります。
中国がキレると軍事基地のある日本に被害が生じることになります。
中国とは穏便に過ごす必要があります。
中国が韓国にキレてもパワーバランスが崩れるし、韓国が日本にキレてもバランスが崩れてしまうのです。また、北朝鮮が崩壊しても困るのです。

日本は自衛しつつ、なんとか憑り付いているアメリカからの離脱を考えているので風見鶏になるしかないのです。
韓国の女優やアイドル、ドラマコンテンツが日本に大量に入ってきているのは日本の風見鶏戦略のひとつなのです。

12月20日に記事には「中国国債購入、日中首脳会談で合意へ」というニュースが報じられています。

中国国債購入、日中首脳会談で合意へ

安住淳財務相は20日の閣議後会見で、中国政府が発行する人民元建て債券(国債)について、「中国は日本国債を保有しており片側通行だ。
双方向通行できるようにすることは一つの考え」として、購入を検討する意向を明らかにした。
外国為替資金特別会計を通じて購入し、規模は最大100億ドル(約7800億円)相当とみられる。
25日に予定されている日中首脳会談で合意する見通し。
野田佳彦首相の初訪中に合わせて、戦略的互恵関係の深化など両国関係の改善を図る一環として、日中間の経済連携を強化する。
中国政府は、外貨準備の運用先を広げる戦略のなかで、日本国債への投資を拡大してきた。日本も中国国債を購入することで、中国側と金融市場など経済情勢の情報交換を進めるほか、中国政府が目指す人民元の国際化も後押しする。
安住財務相は、「ファイナンス上の観点からも、(外交)関係の構築にも、メリットがある」と強調した。

なぜ日本が中国国債を買い支える必要があるのかは、風見鶏戦略を考えれば理解できます。
中国が分裂や崩壊してもらっても困るからです。アメリカの台頭を許し、日本の支配を激化させることになるからです。
アメリカにとっては日本は盾なのです。中国にとっての北朝鮮のように盾の役割をしているのです。

円高・ドル安の差益還元を中国国債に回すことで、三すくみの状態を作る狙いがあります。円高分でアメリカや中国の企業を買収すると外交的に摩擦が生じるので、国債を買い支えているわけです。

中国国債のリスクを背負うことで、アメリカと中国のいずれかがコケてもギリシャ危機のユーロのように、共倒れとなるため牽制ができるのです。
互いの金玉を握り合うということです。

後編に続く。

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