あなたの10年後の履歴書 その1 グローバルとは?

新連載です。

最近、塾生からの質問で日本がどのように変わっていくのか気になる、ひいては自分がどのような状況に置かれるのかが気になる、という質問をよく頂くので「10年後の履歴書」を考えてみようと思いました。

グローバル化時代。日本は人口が減少することが明確になっています。

これが何を意味するか今はあまり語られることは少ないのですが、年齢的に舵取りができる猶予期間は限られていると思います。

10年後にどのような職種が生き残り、どのような職種が食えなくなるのかを世界情勢、日本の経済状況、科学技術の方向性を絡めて説明していきます。

すべての職種を網羅できるわけではありませんが、考え方のヒントを示していくのでそれに照らし合わせて考えられるようになっています。

まずは基本的なキーワードについての解説をしていきます。

最近よく耳にする「グローバル」という言葉ですが、「国際化」とは少し違います。

国際化は多国間であるルールを統一しましょう、という標準化を意味します。

例えば言語です。国境を決める際、どこからどこまでがその国であるのかを決める必要があります。

しかしながら隣接する国で単位が違っていたり、取り決め自体を記した言語が異なると、当然のことながら解釈も異なります。

こういったトラブルを避けるために国際ルールを記す時は英語を使いましょう、という統一が行われます。他には時間や暦があります。

統一(ボーダーレス)が行われると標準化もしやすいのです。

国際化は国の際(きわ)と書くように、もともとは国境を意識しています。

国境を意識をするということは、その国の独自の文化に敬意を払うということです。

ところが、「グローバル化」というのは少し違います。

グローバル化というのは、要するにある何かの押し売りとか押し付けを意味します。

なので、国際化と違いグローバル化をすると、国内外で変化が起きます。

国際化はあくまでも国境をベースとして、内側の国内はローカルを保ったまま、対外的には国際ルールに従うという可逆性があるのですが、グローバル化は国内でも国外でもすべてがあるひとつのルール一色になり不可逆的です。

国際化は中身は保ったたま上っ面だけ合わせるのに対し、グローバル化は内も外も置き換わります。

それはまるで、服を着替えるか、身も心も染まるかの違いです。

極端な説明かもしれませんが、グローバル化というのは国ベースではなく、例えばあるどこかの国の企業が考えたライフスタイルやルールが世界的に採用される現象なのです。

例えば携帯電話の世界ではスマートホンが拡大し、日本の従来方式の携帯電話では日本国内独自の仕様であったためガラケーと呼ばれています。

ガラケーのガラとはガラパゴス化という意味で、隔絶された島であるが故に、生物全てが独自進化を遂げたガラパゴス島に由来しています。

注意して欲しいのは、グローバル化=良いこと では必ずしもないことです。今日のグローバリゼーションとは、マクドナルドの世界チェーン展開のように、ある企業理念や方針を世界に推し進めていくことなので、ローカルを保護しないのです。

ここでいうローカルとは、その国独自のやり方や文化です。

グローバル化が浸透すると価格競争が起きます。価格競争が起きると品質が良くて低価格の商品やサービスが残ります。

我々はこの部分だけを見ると「グローバル化=良いこと」と考えることができます。

しかし、その反面で価格競争で押し負けたその国独自のローカル文化は衰退します。衰退するということは、雇用がなくなるということです。

グローバルカンパニーに共通しているのは、ウィナー・テイクス・オールで、勝者の独り占めです。

価格競争をしていた相手がいなくなり、一社独占状態になると態度が豹変します。結果的に依存度は高まり価格は高騰します。

つまり、グローバル化の目的というのは乗っ取りであり、その国の文化の破壊であり、競争相手の殲滅なのです。

国の乗っ取り、文化の破壊、競争相手の殲滅というと植民地争いを思い浮かべるかもしれません。

物理的に国境を越えて他国に侵略し支配するのは国際的にも違法です。

しかし、経済はどうかというとほぼフリーなのです。

IT化によって複数の市場が接続されると国境は関係なくなります。

兵士を商品やサービスに、占領地や殺傷数をお金に換えた合法的なエコノミックウォーが行われています。

グローバルカンパニーがある本国では法人税が入るので、グローバルカンパニーを育てることは国を強くすることと変わらないのです。

軍事に力を入れるよりも、競争力のあるグローバルカンパニーに投資した方が見返りが大きいのです。

さらに言えば、兵器開発のグローバルカンパニーに投資すればもっと見返りが大きいのです。

インターネットによって市場が接続され広くなったとはいえ、その国独自の参入規制というものがあります。グローバル化を暗に許してしまうと国力が低下すると考えるのはどこも一緒です。例えば移民を受け入れたり、工場の海外移転をしていくと、国内の雇用は崩壊します。

国内生産力が低い国では、例えば日本車が壊れにくく高機能だと分かっていても国産車を守るために、日本車に高い関税を設けている国もあります。

日本ではTPPでも争点になっている農業生産性と食料自給率の問題があります。

TPPによって関税を撤廃すると、安い外国製の農作物が大量に日本市場に出回り、国内産が売れなくなり大打撃を受ける、というものです。

現在日本では外国からの農作物に高い関税を掛けており、競争力を維持しています。外国人の参政権もありません。

政府はそれなりに対策を打っているのです。

では問題ありませんね、と言うとそうではありません。

グローバル化とともに考えなければならないのは、人口増加率と経済成長率です。日本は既に人口減少がはじまっており、このまま行くと地方はますます過疎化し地方から崩壊すると言われています。

全体的に先進国は少子化傾向にあり、新興国(後進国)では人口増加傾向にあります。

今後人口増加が予想され、世界で一位、二位を争うインドや中国では、グローバル化はある程度までプラスになっています。

もともと賃金が低いので伸びしろがあるからです。

しかし、日本のように成熟し経済成長が鈍化した社会では、グローバル化は死活問題です。例えば、日本には優秀な企業が揃っています。

家電で言えば、ソニー、パナソニック、シャープが有名ですが外国製品に押され気味です。

理由は国内で熾烈な開発競争、各競争を繰り広げて疲弊しているためです。

国内で潰し合いをしているため外国製品に一致団結して立ち向かう力がないのです。

韓国はアジア経済危機でデフォルトに陥りましたが、国策として家電メーカーを一社に統合合併しました。

これによって国際競争力の高い大企業サムソンが誕生し、ついには日本のお家芸とも言われた液晶ディスプレイ市場を席巻しました。

自動車製造も同様です。日本国内で独自技術が進みガラパゴス化しています。

日本が得意とするモノ作りは、円高の影響もあり今や瀕死の状態だと言えます。

モノ作りがうまく行かなくなるとどうなるか?

経営効率化のためリストラが実施され、製造拠点はより賃金の安い国へ移転することになります。

結果、賃金の高い国内では製造業が衰退します。

非正規雇用が増え、製造業従事者の所得は減ります。

家計を圧迫することになり、未婚率が増加し少子化を加速させることになります。

少子化は人口減少に繋がり、国民総生産を下げることになります。

若者が減り老人だらけとなり、労働力は低下しているにも係わらず、老人への社会保障費は増大。歳入は減少し、国家予算も減少。

国際競争力をどんどん失っていくという負のスパイラルとなります。

国際競争力を失うということは、これまで築いてきた参入規制を維持できなくなる、ということです。

TPP問題でアメリカと揉めている「日本が参加するならば、全ての品目に対して関税を撤廃し例外を認めない」というのは好例です。

人口が減少に転じた2010年。

国際競争力を失い、隣国の経済成長、軍事拡大の脅威にさらされる日本は、これまで極端なグローバル化を食い止めてきた参入規制を維持できるとは限りません。

人口が増え、経済成長を前提とした国策に狂いが生じてきたのですから、軌道修正を図らなければならないのは必然です。

ほぼ確実に規制緩和を強いられ、グローバル化の波が直撃することになると思われます。普段、我々は参入規制については意識することはあまりないと思います。

例えば、外国人労働者を受け入れ移民が増えてくると、外国人参政権の話が出てくるかもしれません。

弁護士や医師などの特殊な国家資格が外国人でも取得できるようになったら、裁判や医療の行方はどうなるでしょうか?

外国の企業が日本の水源を求めて田舎の土地を買い漁ったらどうなるでしょうか?

想像することが難しいと思います。

規制緩和後の世界は様変わりするだろうと思われます。

むしろ変わらない分野は少ないと思われます。

10年後にどのような職種が生き残り、どのような職種が食えなくなるのか想像できるでしょうか?

あなたの仕事は10年後も食えるのか食えないのか?

年金が期待できない時代、難しいですが、今から考えていかなければなりません。

続く。

【引用元 goo イメージサムネイル】

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