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モバゲーグリー問題 その3 ビッグ・コン

コンというのは詐欺の隠語です。
コンにはショート・コン(寸借詐欺のような小さなもの)と大掛かりなビッグ・コンがあります。
ビッグ・ストアというのは、ビッグ・コンをするための巨大な舞台装置です。
SNSはいわばビッグ・ストアです。詐欺の手口はこのようになります。

例えば、あるユーザーが無料のソーシャルゲームを始めたとします。
課金をする気は毛頭ありません。無課金でマイペースでやって行きたいと考えていたとします。
多くの人は無課金プレイヤーから始まります。

ではなぜ課金を考えるようになるのか?
ゲームを進めていくと、課金をしなければ解決できないような問題や、課金をすることで一気に解決する問題が発生するからです。

例えば、アイテムが偶然5つ揃っていて、あと1つ揃えばコンプリートという状態になったとします。非常にラッキーな状態です。
ところが、最後の1つが中々出なかったりします。

さらに、あと1つなのに運悪く他のユーザーに奪わてしまうという事案が発生したりします。
仕事中でログインできない数時間の間に、別のプレイヤーにやられているかもしれません。

この問題というかイベントは、果たして偶然なのでしょうか?
ビッグ・コンにハメるには、ショート・コンから始まります。
SNSは大量の個人情報を有しています。誰がどんな属性を持っていて、今どのような状態にあるのかを把握することができます。
そして、ゲームはプログラムであり、その本体はサーバーにあります。
ブラックボックスなのです。

だから、ゲーム開発サイドから見れば、個人情報は筒抜けなのです。
もちろんアクセスレベルはありますが、そのゲーム内の情報はゲーム開発サイドからある程度知ることができます。

ショート・コンの最初の仕掛けは、無課金プレイヤーが有利になるような状態をわざと作り出すことです。
例えば、アイテム6つのうち5つが簡単に揃うとか、レア・アイテムが偶然手に入るなどです。
仕掛けられる人は無課金かつ、ログイン回数が多く、プレイ時間が長いハマっているユーザーかもしれません。
この履歴はプレイヤーデータから見ることができます。

まずはプレイヤーに課金はしなくとも、アイテムがあることでゲーム展開が有利になることを学習させます。
アイテムはデジタルデータであり、ちょっと端末を叩けば無から有を作り出すことができ、ゲーム開発サイドからすればコストゼロの錬金術です。
最初に良い思いをさせるのです。

次に、事故が起きます。
この事故は無料で偶然手に入れたアイテムを使えば解決できる事故です。
ここで、アイテムがインシデント(不意の事故)に有効であることを学習させます。

例えば、仲間プレイヤーが敵にやられていたとします。
仲間プレイヤーからは救援が来ます。そんな時、回復系のアイテムを使うことができれば、一気に仲間との信頼度が増します。
自分が男性プレイヤーで、助けを求めてくるのが女性プレイヤーであれば、ついつい助けてあげたいものです。

その女性プレイヤーとの繋がりは自由意志ですが、どのように出会わせるかは、コントロールできるのです。
出会う確率をいじってあげれば、自然と仲間になる確率は高くなり、さらに男性プレイヤーが回復アイテムを持っている時に限って、女性プレイヤーが敵に遭遇する確率を高くしてあげれば、男性プレイヤーが女性プレイヤーを助ける確率は上昇し、信頼度が上がります。

プレイヤーにとってはインシデントであっても、ゲーム開発サイドは確率や事象をコントロールできるのです。

ソーシャルゲームは敵がコンピュータとは限らず、人間であることもあります。
コンピュータの敵よりも、人間の敵に自分や仲間が襲われると、そこには強い怨恨が生まれることになります。

襲ってくる敵に対抗するには強いアイテムが必要です。
やればやり返されるので、最終的には圧倒的な戦力を手に入れなければ、負け続けることになります。
結果、お金を自分のために使うのは躊躇われても、仲間のために使うのは躊躇しない、怨恨を晴らすために使うことを躊躇しなくなります。

課金のタイミングは自分のためというより、自分の名誉と仲間を守るために使われるわけです。
それによって得られる報酬は、ゲームから得られる報酬を遙かに越えています。
そして、そのコントロールをしているのはビッグ・ストアの主催者である可能性は高いのです。
(ゲーム内の仕組みやデータは個人情報保護法と知的財産権で保護されているのでブラックボックスです)

このようにビッグ・ストア内でショート・コンが成功すれば、あとはビッグ・コンへと誘うだけです。
大掛かりなビッグ・コンでは、ショート・コンにハマったプレイヤー自身が仕掛け人になります。

秀逸な詐欺は、詐欺被害者自身が詐欺の片棒を担ぎます。
そして、片棒を担いでいることを知らずに詐欺は完遂します。
レアアイテム(強い戦力)を持ったプレイヤーが現れると、ゲーム内の戦力バランスが崩れます。
強いプレイヤーが弱いプレイヤーを狩るようになります。
それに対抗するためには、レイアアイテムが必要となります。

レアアイテムによって強化された戦力は、もはや時間とテクニックというゲームの本質を超えた別次元の強さであり解決不可能です。
それに打ち勝つには、同様にレアアイテムを入手するか、レアアイテムを持っているプレイヤーと仲間になり、信頼関係(利害関係)を結ぶしかないのです。
仲間との信頼を確かめ、より強固なものにする方法は、昔から共通の敵を作り出し、それを攻撃することです。

怨恨が成立すればあとはゲーム開発サイドが操作しなくとも、プレイヤー同士が競い合うことになります。
やがて戦力は拮抗することになるので、課金されるプレイヤー自身がもっと強いレアアイテムを入手困難な形で求めるようになります。

なぜなら、誰もが簡単に手に入れられたら、優位性は長くは続かないからです。
強い武器が安価で大量にゲーム内に流入すると、強さのインフレが起きて大混乱になります。
コンプガチャはビッグ・コンに参加しているプレイヤー自身の願いでもあるのです。

これは競争入札と一緒です。
価格はどんどん釣り上がっていくことになります。
バカバカしいと思ってゲームを辞めたくても、人間関係が辞められないのです。

努力と友情、出会いと別れ、裏切りと偽り、富と名声、そして挫折。
ソーシャルゲームはこれらをひと通り体験することになります。
次々と不可解なインシデントが起きるのです。

世間では、お金はゲームのために使われていると誤解されているかもしれませんが、実はお金は人間関係の解決のために多くは使われているのです。
自制心がなくギャンブルが好きな人達がお金を使っているのではなく、実は他人の痛みを強く感じる人達が、人助けのために身銭を切っているのです。主体性がまだ育っていない子供がハマるのもそういうわけです。
非常に秀逸な仕組みです。

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