定額クラウド化に活路はあるか? アドビのクリエイティブクラウドの可能性

  • 定額クラウド化に活路はあるか? アドビのクリエイティブクラウドの可能性

2013年5月7日のロイター記事にアドビが今後の製品をクラウド化に移行し、定額制にすると発表し、クリエイターは少なからず驚きを隠せないでいるかもしれません。

▼米アドビが主力パッケージ製品をクラウドに完全移行、6月17日から

米ソフトウエア大手アドビ・システムズ(ADBE.O: 株価, 企業情報, レポート)は6日、主力のソフトウェア・パッケージ「」の最新版について、今後はサブスクリプション(定額制)サービスの「」を通じてのみ入手可能になると発表した。

クリエイティブクラウドのシニア・マーケティング・ディレクター、スコット・モリス氏は6日開催した年次会合で「アドビは100%クリエイティブクラウドに移行する」とし、クリエイティブクラウドの最新版は6月17日以降、定額制サービスの加入者のみが利用可能になると説明した。

(紹介終了)

▼クリエイティブクラウドのビデオ紹介

アドビと言えば、クリエイター御用達ソフトであるフォトショップ、イラストレーターなどを発売している大手ソフトウェアメーカーですが、これまで一年に一回程度のペースでバージョンアップを続け、通算でバージョン17にあたるシリーズ「新クリエイティブスイート」を、要するにレンタル制にすると発表したわけです。
因みに2012年にはクリエイティブスイート6というシリーズが出ています。

アドビの製品は昔から不正コピーされ続けてきており、正規版を買うのが嫌という人は昔のバージョンを使い続けていたりもします。そのうちハードウェアの進化に伴いOSも進化するので、昔のバージョンが使えなくなり、いつかはクラウド版に移行していくことになるのだと思います。潜在顧客は多いのです。

確かにバージョンアップするごとに機能は追加されているのですが、実際使用する機能はそれほど多くはなく、バージョンアップをしても売れない、という問題もあるのだと思います。この辺は、ゲーム会社のスクエア・エニックスやスタジオジブリのようなヒット作を作らないと組織を維持できない、という問題点があるのだと思います。

そこで、アドビが考えたのがクラウドへの移行だったというわけです。
パソコン一台に対して、ソフト一本の契約となるはずなので、月々の一本の売上が低くても、まとまれば大きな額になります。と、同時に、急速なアドビ離れも起きるかもしれません。

クリエイティブクラウドの利用料金は、月極プランで月額74.99ドル、年間契約では月額49.99ドルということなので、ざっくり見積って月々契約では約7500円、年間契約では約5000円の使用料です。
現行バージョンのクリエイティブスイート6「マスター・コレクション」は、通常版で約41万円、アップグレード版で約6万円、アカデミック版が約11万円となっています。
因みに、アップグレードは2つ前までしか遡れなくなったため、クリエイティブスイート4を持っていないと受けられません。

通常版で約41万円をローンで買うことを考えればお得ではあるのですが、プロダクションで1つのマシンを複数人で使用している場合は、結構な出費となるかもしれませんね。
プロは頭打ちになりつつあるので、手頃な価格で学生などのアマチュアに売ろうということなのだと思います。

ところで、クリエイティブクラウドの可能性なのですが、もしアドビが成功すれば他社も追従する可能性があります。期待されるサービスとして、ソフトウェアのプライベートカスタマイズがあります。
毎年一斉に一般的に使える機能を付加するバージョンアップを行う必要がないわけですから、そのユーザーが必要な機能を個別に提供することも可能になります。商品画像の切り抜きに特化した機能を追加とか。

アプリ形式で追加機能を購入することができれば、より顧客満足度の高いサービスと成り得ます。
つまり、クリエイティブクラウドという仕組みをプラットフォームにして、SNS的に展開することができれば、より便利になります。

例えば、フォトショップを使っているユーザーと、音楽を作っているユーザーと、動画を作っているユーザーがいたとしたら、彼らを繋ぎ合わせることで新しいコンテンツ制作が可能になります。
この傾向は、ニコニコ動画の初音ミクでブレークしたボーカロイドコンテンツ市場で既に見られており、今後ブレークする可能性があります。

名刺やポスター、チラシはデザイン制作会社に頼むのではなく、クリエイティブクラウドを通じてソフトだけではなく、ユーザーとも連携させることで、ネット上だけで完結する可能性があるのです。
クリエイティブクラウド内で仕事が回れば最高の展開ですね。
あくまでも定額制が受け入れられればの話ですが。

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