長岡式:073【自分の磁石が信じられずに遭難する者は多い】

磁石は絶対北を指すものとして知られている。
しかし、例外がある。
自分が北極点にいるときは、
磁石は真下を指す。
つまり、
既にゴールにきているのに、
磁石の読み方が分からないばかりに、
通り過ごしてしまうのだ。

それが正解。と言われてもすぐには理解できないことがある。
既に成功しているのに、あるいはゴールに着いているのに、それが信じられずにまだその先を追い求めてしまうことはある。
行き過ぎてしまうと遭難することになる。

例えば、美の追求。ギャルメイクは今や迷走している。
メイクは「作る」というところから来ているけれど、2010年のメイクは「作る」から「創る」になってしまっている。創るというのは無いものを人工的に作り出すことを意味する。

メイクの目的とは、本来の顔立ちをベースにして、より美しさを際立たせるのが目的だ。例えば、薄い眉毛をよりハッキリさせる。短い睫を揃えて、アイラインを引き、目元をハッキリさせる。ファンデーションで皮膚の凹凸を隠し血色をよく見せる、といったそもそも存在する要素をベースに洗練させて行く作業だと思う。

しかし、ギャルメイクの深化系は創造だから、ベースを無視して、ないところにいきなり出現する。
例えば、目の大きさには限界があるので、目の周りを塗りつぶしてアイラインを描き直すなどは、遺跡を発掘せず、いきなり更地にしてからビルを建てるようなものだ。

このようにして深化したメイクは、もはや美の追求ではなく、行為の追及と化している。行為による結果ではなく、行為の過激さという手段に重点が置かれる。
だから、一部のグループ内でしか通用しないローカルな文化と言えるよね。

社会全体のグローバルな観点から見れば、それは美でなくもはや醜でしかない。
美を追求した結果、そもそもの美とはなにか(ゴールが)分からずに遭難したようなものだ。

美とはつまり相対的なのである。自分自身の行為において固定化される絶対的な評価(自作自演)ではなく、他者との相対的な価値観の交流と調整によって決まるんだよね。

私が思う美と他者が思う美。そして、所属社会が共有している美と、世界共通の美と様々なレイヤーがある。
普遍的な美という最上位レイヤーよりも、私が思う美や、ごく狭い所属社会が共有している美を優先的に参照すると、美のガラパゴス(非交流独自進化系)化が起きてしまう。

突き抜けすぎると、凄すぎて誰もアドバイスできなくなってしまう。

ゴールというのは固定的なものではなく、抽象的なものかもしれない。
そこに辿り着けばゴールかもしれないし、そうではないかもしれない。
ゴールへと続く道程も含めてゴールなのかもしれないし、単にどんな手段を使ってでもそこに行けばゴールなのかもしれない。

現代は価値観が多様化し過ぎて、一般的にゴールと考えられていたものが、本当のゴールではなく、新たなゴールへのスタートになっているかもしれない。

多様化した世界では、ゴールの位置や条件、ゴールまでの制限時間などが変化する可能性がある。

ゴールはひとつではないし、ふたつになっているかもしれない。
あるいは、ゴールがなくなってしまうこともある。
ゴールを行き過ぎてしまうどころではないかもしれない。

つまり、フィードバックが必要なんだよね。
フィードバックとは自分以外の対象と通信をして、それが今なにであるかを確かめる作業だ。
レーダーのように、リアルタイムに追跡をしていかないと遭難することもあるかもしれない。

もっと極端な話、全てのゴールは全て自分の頭の中にあると言っても過言ではない。
頭の中というのは、脳ということだ。
脳が全ての感覚を司っているということは、その脳がゴールだと感じたらどんなにハードルが低くてもゴールだし、どんなに高いハードルをクリアしてゴールしても、感じなければゴールとは言えない。

要するに、自分の磁石も方位も距離もゴールもなにかもが、自分の頭の中にあるというわけだ。
ということは、本当のゴールを捜し求めるなら、地図を広げるよりも先に、自分の頭を捜索したほうが早いということだ。自分の方位磁石を点検したほうが早いし、高性能なものよりも、適当なものに持ち替えたほうがストレスは溜まらないかも知れない。

なぜなら、すべては自分が想う故に存在している妄想に過ぎないからだ。
その証拠に、頭がイカレるとどんな状況であれ、すべては無に帰す。
棺桶まで持っていけるのはなにもないのだ。

なにが言いたいかというと、上昇指向や本物志向もいいけれど、行き過ぎるとろくなことがないよ、ということ。自分の見ている世界は自分の中にしかないから、自分を信じることができればそれでいいんだよね。

ある程度、自分を疑い自分の感覚を養ったら、最終的には自分を信じて自分感覚で生きたほうがいい。「すべてこれでいいのだ」これが大事。
自分中心の中心感覚。その下に必ずゴールがある。

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