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行動経済学入門 その72 マリッジブルーと時間解釈理論

前回、時間解釈理論では「人は時間的に離れている時には望ましさを選び、近い時には実現可能性を重視する」という説明をした。
これは言い換えれば、双曲型割引の特徴である「現在志向バイアス」として説明できる。

現在志向バイアスというのは、「人が持つ、未来の利益より目先の利益を優先させる傾向」のことを意味する。
近い将来の利得を評価する場合には、利得の大きさよりも時間的遅れの意味が重視される。双曲型割引で説明したように、少し先のことであっても大きく割り引かれることになる。
つまり、遠い将来に関しては、利得の大きさが問題とされるが、近い将来に関しては、時間の遅れが重視されることになる。

実験で「3ヶ月後の1万円」の現在価値を尋ねる場合には、3ヶ月後に1万円が必ず手に入るという前提があるが、被験者は時間の遅れと不確実性を密接に結びつけて、時間の遅れはそのまま入手できないかもしれないという不確実性と受け取っているかもしれない。

例えば、給料をもらうとき、3ヶ月後に必ず満額払うと雇用主が言ったとしたら、従業員は「この会社はヤバイ」と考えるものだ。

ところが時間的な選好逆転(時間的非整合)が起こる場合がある。
時間的に離れた将来では高次の解釈である利得額が重視され、時間的に近い場合には低次の解釈である入手可能性が重視される。
同一額の利得に対しては、遠い将来の方が近い将来に比べて割引率は小さくなり、同一時点での大きな利得よりも魅力的であり、そこで大きな利得のほうが割引率は小さくなってしまう。
同一額の利得というのがポイントで、待てば待っただけ利得が上乗せされて増えるというわけではない、という条件下である。

例えば、という言葉がある。これは花嫁が結婚式を前にして結婚をしたくないと憂鬱になる症状のことで、これも選好逆転と言える。
花嫁は結婚式がまだまだ先だと思っているうちは結婚式が待ち遠しいが、その日が近づいてくると、ダイエットの進捗や招待状の手配など細部のことが気になりだし、面倒になってしまい、いっそのこと結婚式が中止になればいいと思う心理と同様である。
待ち遠しいのに、来て欲しくないというアベコベの心理になるのだ。

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