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パノプティコン効果とやらせレビュー

2015年3月21日のニュースに楽天市場で架空のレビューを大量に投稿していた業者が訴えられたとありました。

▼<楽天市場>「架空投稿で損害」 大阪の会社を賠償提訴
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000005-mai-soci

[note] 国内最大級のインターネット上の仮想商店街「楽天市場」で、店舗の口コミ評価をつり上げる架空の投稿をされて損害を被ったとして、運営する楽天(本社・東京)が大阪市北区のコンピューターシステム会社を相手取り、約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。20日に第1回口頭弁論があり、システム会社側は争う姿勢を示した。

楽天市場には昨年末現在で約4万1000店舗が出店する。客はネット上で商品を注文でき、電子決済も可能。商品や店の対応を客が5段階評価で投稿する「みんなのレビュー」と呼ばれる仕組みがあり、商品ごとに扱う店の投稿を読める。

訴状によると、システム会社は150件当たり8万円の対価で、客を装う投稿を請け負っていた。楽天が昨年1月以降に調査した結果、121店舗の11万件以上の投稿が同社による架空投稿だったとしている。

楽天は店舗側に投稿の削除を求め、応じない店舗とは契約を解除した。訴状では「適切なレビューを掲載できず、他の出店者や消費者に公正なサービスを提供できなかった」と主張し、得られたはずの広告料収入などの賠償を求めている。

楽天は「コメントできない」、システム会社は「一切答えられない」としている。

(紹介終了)[/note]

また同日の産経新聞にはこうありました。

▼楽天市場で「やらせ投稿」 ステマ、過去にも問題化…法規制には慎重意見も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000513-san-soci
[note] インターネット通販大手「楽天市場」で疑いが発覚した好意的な口コミの「やらせ投稿」。企業や店舗がブログやサイトに一般消費者を装って商品などの評価を書かせる宣伝手法は「ステルスマーケティング」(ステマ)と呼ばれ、たびたび問題になってきた。ネット上では、検索上位の商品や口コミ評価の高い店が消費者に選ばれる傾向が強く、ステマを法規制すべきだという声が上がる一方、慎重意見も出ている。

ステマが注目されたのは、グルメ情報サイト「食べログ」で平成24年、飲食店に好意的な口コミを投稿する「やらせ業者」が多数存在していると報じられたことがきっかけだった。

運営会社のカカクコムはその後、店舗ページへのアクセス件数と口コミ件数が多い順に表示するランキングを廃止し、店の評価順に表示するランキングに一本化。投稿者を確認する手段として携帯電話番号を利用した認証などを導入した。

ステマは同じ年、インターネット競売「ペニーオークション」をめぐる詐欺事件でも問題化。多数の芸能人が虚偽の落札情報をブログに書き込んで謝礼を受け取っていたことが発覚し、批判が集まった。

ただ、日本にはステマを直接規制する法律はない。消費者庁によると、書き込みを依頼した企業などが景品表示法違反で行政処分されることはあり得るが、書き込んだ側は処分対象にならないという。24年には消費者庁に意見書を提出した日本弁護士連合会をはじめ、国内ではステマに法規制を求める声が根強い。

これに対し、元検事でネットトラブルに詳しい落合洋司弁護士は「規制範囲によっては言論の自由の萎縮を招きかねない」と指摘。「運営会社が不正を極力排除する評価システムを構築し、それでも不正を繰り返す業者には法的手段に訴えるようなバランスが望ましい」としている。

(紹介終了)[/note]

レビューとステマの問題は度々取り上げてきましたが、今回の事件で面白いのは反面教師だということです。
レビューにやらせ投稿をしても逮捕はされない(訴えられることはある)。
そして、やらせ投稿は広告費よりもコストパフォーマンスが高い、ということです。

楽天側がやらせをした業者に対して約1億9000万円の損害賠償を起こした、ということは、やらせをしたことで広告費を約1億9000万円から業者に支払う報酬を差し引いた額を節約できたということを意味します。
これって単にレビューの弱点を晒しているだけですよね。

実際なぜやらせ投稿やステマが増えたのかは幾つか理由があって、ひとつは競争が激化して楽天の場合だとランキング重視になったせいでもあります。楽天が同じ商品を扱う店舗を増やすと、楽天内で不毛な競争が生まれます。それを避けるためには楽天アドに金払え、という構図なのですから、店側にしたらたまったもんじゃないわけです。

ニュースでは楽天市場側の過失も取り上げるべきですが、まったく触れられていません。
楽天は店子からロイヤリティを徴収し、さらにライバルを出店させることで広告費も徴収しており、さらに月々のテナント料も徴収しているわけですから、二重課税、三重課税の重課税モールということになります。

しかも、レビューのおかしさというのはこんなところにもあります。
例えば、★が5で満点のレビューで、100件の投稿があったとします。
99人が★5つで、1人だけが★1つだとします。すると、平均レビューはどうなるか?
平均点は小数第二位まで出すとします。

99 × 5点 = 495点
1 × 1点 = 1点
合計 496点
平均 496 ÷ 100= 4.9点

では、今度は1000人で計算します。

999人が★5つをつけて、1人だけが★1つだったします。

999 × 5点 = 4995点
1 × 1点 = 1点
合計 4996点
平均 4996 ÷ 1000 = 4.9点

平均するとどちらも4.9点ですね。
同じ4.9点でも前者と後者では全然意味が異なります。なのに点数が同じなのです。
分母が大きいと点数を押し上げるのは一苦労ですが、また下がりもしません。
★が最高5つまでしかないので、例えば口コミが1000件規模となると、このスコアを操作するには相当数の投稿が必要となるのです。

つまり、一度差が付くとどんどん差が開き格差が生まれてくるわけです。
例えば、1000人の人が商品を購入して、999人が★5つで、1人が★1つだったとしても、★1つの人がいつレビューをするかで印象は変わってきます。

なぜなら999人が連続で★5つを投稿すれば、ずっと5点満点だからです。
しかし、たまたま最初の1人目が★1つだと、平均点は1点ということになります。
その平均点を参考にした次の客の評価はバイアスが掛って悪化する傾向があります。

平均点2.9と3.0は0.1しか違いがありませんが、圧倒的に2.9の方が低く見られがちで、3.0と3.1は同じ0.1の違いですが大差はないと判断されがちです。
レビューというのはアテになるようでいて、アテにならないのです。
例えば、こんな図があるので見て下さい。

主観と解釈

誤解というのは主観の解釈の違いなので、1つの理解は常に誤解の総体となるわけです。

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