世界人口70億人へと不老不死時代の資源争奪戦 前編

国連の推計によると、世界の人口は10月31日に70億人を超える。ということで、いよいよ人類は未知の人口70億人時代に突入したわけですが、各地では70億人目の赤ちゃんの認定が話題となりのほほんとしています。

人口はアフリカ、、中国の増加が目立っており、2024年頃には80億人を突破するだろうと見られています。
人口の増加が一番多いアフリカは、経済成長が著しいインドや中国とは少しワケが違います。

アフリカで人口が急増している理由は、乳幼児の死亡率がとても高いためです。病気、戦争、貧困といった理由から乳幼児の死亡率が高いため、子供をたくさん産まないと成人する子供が少ないのです。

しかし、アフリカの貧困問題は、子供が多過ぎることと、その子供たちにまともな教育を受けさせることが難しいことにあります。
彼らにとっての子供はかつて世界中がそうだったように、労働力でもあるのです。

子供は無償の労働力であり、親が子供の稼ぎを収奪する、ということで成立しています。

学校を作っても親は子供の頭がよくなるより、仕事をさせたがります。
学校は木材の売買目当てに解体され、なかなか教育が根付かないというのが現状です。

一方で、インドや中国の人口増加はアフリカとは異なり、高度経済成長による余剰がもたらしています。
かつての日本がそうだったように、人々の暮らしがよくなると核家族化が進みます。

要するに、大家族制度は廃れて、両親と子供からなる小家族へと分化していくわけです。豊かになれば嫁姑問題を避けたいと思うのは、誰でも一緒ですね。

日本はどうかというと、世界人口の増加とは反比例して今年に入って、人口が減少に転じました。つまり、ピークを過ぎてどんどん人口が減っていく下り坂に入ったということです。

全般的に富裕国では人口が減少し、貧困国では人口が増大する傾向にあります。その理由はなにかというと、一人当たりの知的生産レベルにあります。

先進医療を受けられて寿命が延びてくると、一人当たりの生涯知識量というのは上昇します。

早く死ねば生涯知識量は減ってしまうので、長く生きれば生きるほど、知的レベルは高く保てる、ということです。

ポイントは、生涯知識量が新生児獲得経験値を上回っていれば、わざわざ子供を作る必要性は低くなるということです。

これはどういうことかというと、例えば、ある技術スキルを持っていて年収が1000万円あったとします。その技術スキルを高く保ち続ければ生涯において高収入を維持できます。
しかし、もし人間の寿命が短ければ、技術スキルは早くに失われてしまいます。

よって寿命が短い場合は、親が健康であるうちに次世代に技術を伝承する必要が出てきます。

それが高度であればあるほど、早くに子供に伝えなければ成らないので、若くして子供を産み、教育する必要が出てきます。親は子供に面倒をみてもらいます。

また、子供は基本的に自分のDNAを半分しか受け継がないので、子供に残せる肉体的な遺志は50%です。
親と子供の心は別々なので、メンタル面は遺伝しません。

ところが、親の寿命がどんどん延びて、若く健康でいられる期間が長くなればなるほど、子供というバックアップを作る必要が低くなるので、自分が長く生きて、自分で稼いで自分を食わせていったほうが効率が良いというわけです。

このような長寿社会では、いつまでも老人が高い知能レベルで居座るので、後発参加の若者のパイはどんどん小さくなる、という問題が生じます。極端なことを書くと、格差が生まれ二極化するのです。

社会にとって子供は未熟な構成員とされて、子供は早熟しなければならなくなります。子供の虐待が増え、ませた子供が増えていきます。
長寿社会では空き地に生える雑草と一緒で、常に子供は邪魔者扱いなのです(現代社会は病的なまでに自然を嫌う傾向にあります)。

では、いつまでも若く健康でいられるような時代は来るのでしょうか?
実はもうすぐそこまで来ています。
この間、こんなニュースが報じられました。

「赤外線でのがん治療法開発 8割完治、副作用なし」

体に無害な赤外線を使った新しいがんの治療法を米国立保健研究所(NIH)の小林久隆チーフサイエンティストらが開発した。
マウスの実験では8割で完治、副作用もなかった。
6日付の米医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に発表した。
小林さんらのチームは、光を受けると熱を出す特殊な化学物質に着目。
この化学物質と、がん細胞のたんぱく質(抗原)に結びつく抗体を結合させた薬を作った。
この薬を注射して、翌日、がん細胞の表面に付いたところで体を透過しやすい近赤外線を当て、熱を出してがん細胞を破壊する。
赤外線は無害で、熱を出す化学物質も体の中ですぐに代謝され、「安全性は高い」という。
実験では、2週間で死んでしまう悪性がんのマウスに、この薬を注射して翌日に近赤外線を1日15分照射する治療を2日間実施。
これを1週間おきに4回繰り返すと、8割でがんが完治した。

日本人の死亡率ナンバーワンである癌治療についてのニュースです。
老化は病だとする現代医学は、iPS細胞技術によって格段に進歩を遂げています。癌治療だけでなく、人間の細胞分裂の限界をリセットするための不老不死技術が注目されています。

iPS細胞技術を簡単に説明すると、どんな細胞からでも、どんな細胞を生み出せる技術のことです。
普通、細胞は卵細胞から分裂すると、それぞれ特定の決まった部位になり、決まった役割をこなすようになります。

逆に言えば、もしその細胞が分裂したときに別の細胞に換わってしまったら、それは細胞の暴走であり、癌細胞と呼ばれます。

iPS細胞は細胞が持つ特定の役割情報をリセットして、再命令をした後、再起動させる技術なのです。

リセットされるので、細胞分裂の上限回数を決めていると言われているテロメアという酵素もリセットできます。
つまり、細胞のリサイクルが無限に可能になるので、不老不死になる、というわけです。

ただし、脳細胞は特別です。脳細胞が蓄える経験はたとえ脳細胞を代謝させても得られないので、リセットをすれば記憶がなくなります。
記憶がなくなるということは、人格も消滅するということです。
マトリックスのように脳に直接情報をインストールするような技術が開発されるかもしれませんが、この辺が不老不死の限界ということになるかもしれません。

「でもこれって遠い未来の話でしょ?」と思うかもしれませんが、もう間もなく実用化されるようです。
読売新聞にこんな記事が載っていました。

「101歳からiPS作ったら、若返り効果も抜群」

101歳から採取した、活発に細胞分裂をしない細胞から様々な種類の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を作製することに、仏モンペリエ大学のチームが初めて成功した。
高齢者の再生医療、細胞の若返りにつながる成果で、研究チームは、米生物学誌に発表した。
細胞は約50回ほど分裂して寿命を迎える。

染色体の端にあり、細胞の寿命に関わる「テロメア」が分裂のたびに短くなるためだ。高齢者の細胞はテロメアが短い割合が高く、iPS細胞が作製しにくい。
研究チームは、京都大の山中伸弥教授がiPS細胞開発に使った4種類の遺伝子(山中因子)に、「Nanog」と「LIN28」という2種類の遺伝子を加えると、高齢者のiPS細胞の作製効率が3倍に向上することを確認。

この6遺伝子を、92~101歳の4人の皮膚細胞に導入したところ、いずれもiPS細胞になり、軟骨や筋肉、神経などの細胞に変化できた。
(2011年11月5日19時32分 読売新聞)


どうです? すごいでしょ!
20年以内には人間の寿命が150歳まで延びるだろうとも言われているので、世界が抱える人口問題は新たな局面を迎えそうです。
そのひとつに資源争奪戦があります。

後編に続く。

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