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逆因果関係 ~未来の行動が過去を変えてしまう話~ 前編

先日、ようやくソニーからプレイステーションVRが発売され、一般家庭にもVRの波が到達した感がある。
今後、VRからホロレンズ、ホログラムとバーチャルリアリティと拡張現実ビジネスは拡がっていくことになりそうだよね。
さて、なにが言いたいかというと、バーチャルとはなにか? である。

プレイステーションVR
プレイステーションVR

バーチャルはリアルの対義語で、仮想とか非現実、虚像という意味がある。
そのバーチャルが一般的に普及するということは、非現実な世界が現実を侵食している、と見なすことができる。
現実ではないけれど、現実より現実っぽい現実主義はシュールレアリズムと呼ばれている。平たくいうと妄想だ。
一昔前、妄想癖や盲言を吐く人間は一種の精神錯乱状態や統合失調症だと見なされ忌避されてきた。
精神病院に即入院だ。

しかし、現代においてはバーチャルこそが21世紀のフロンティアとも目されている。
一昔前、SFの中での話だった、仮想空間、バーチャルリアリティは当たり前のものとなり、妄想に耽ることは非常に現代的で文明的な行為だとみなされつつある。それもきっと、妄想に再現性が担保され、人々と共有ができるようになったからだろう。

言ってみれば、現代は巨大なオープンワールドの精神病棟とも見なすことができる。
みんなが各々、自分だけの世界に閉じこもり、自分だけの世界を構築していく様は、きっと精神病棟に似ているだろう。

実は、これは前置きで、この間Eテレで面白い番組を見たんだよね。
モーガン・フリーマン 時空を超えてというサイエンス番組で「運命か? 自由意志か?」という回だ。
その中に「逆因果関係」という言葉が出てきた。

この回を見ていない人は、デイリーモーションに動画があったので見て欲しい。
ちょっと見辛いがそこは我慢だ。

モーガン・フリーマン 時空を超えて「運命か? 自由意志か?」

運命か? 自由意志か? モーガン・フリーマン 時… 投稿者 nihonnihontonikakunihon

で、「逆因果関係」とはなにか? なんだけれど、簡単に説明すると「未来が過去を書き換えてしまう」ということだ。
普通は「因果関係」というものがあり、過去が未来へと続き、それは原因と結果という形として表れ、それを因果と呼ぶ。
よく言うよね「因縁」とか。これも因果関係を表した言葉で、過去が未来へと続き結果を導き出していることを意味している。

我々は普通、時間は過去から未来へと一方通行に流れていると考えているけれども、最近の研究では「そうではないようだ」ということになっている。時間は未来から過去へも流れて、時計も反時計回りに進むことがあるんですよ、なんていったら馬鹿扱いされるよね。でも、最近の研究では馬鹿真面目に議論されている。これってすごく面白くない?

つまり、過去から未来へと因果は関係するけれども、観測されていない現象は未来から過去と関係するんだね。
もっと平たく言うと、未来の行動が過去を変える、ということだ。
この考えが支持されるようになったきっかけは、おそらくは「量子もつれ」という現象で、最近の研究結果では量子もつれを使った簡易テレポーション実験に成功している。

未来の行動が過去を変える、というのは仮にそうだったとしても反証こそが科学である、という現代では証明しようがない。
証明しようがないんだけれど、面白いのは証明できないような荒唐無稽な世界が我々の生活や考え方を徐々に変えつつある、ということだ。そのひとに冒頭で説明したバーチャルリアリティがある。

もう少し詳しく説明しよう。
物理学の専門誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された研究がある。

Predictions for a quantum measurement are improved by probing the system after the measure

英語なので、論文を要約すると、ワシントン大学のケーター・マーチ教授らは、量子の状態を測定した後に結果を隠し、その結果を2つの方法で予想する実験を行ったところ、時間が過去から未来へと一方的に流れるという一般的な前提での予想は半分ほどの的中率であったのに対し、時間が過去と未来どちらへも流れるという前提での予想は的中率が9割を超えたという。

quantumexperiment2

そこでマーチ教授らは、「弱測定」という近年注目されている方法を使い、特殊な予測を行った。
通常の測定では量子の特性である複数の状態の共存を壊してしまうが、弱測定という方法では、その状態を壊さずに測定できるという。

さらに弱測定にはもうひとつ大きな特徴がある。それは、時間が過去にも未来にも進むことを前提としており、測定結果から遡って過去の状態の確率を計算する「遡測(retrodiction)」という特殊な予測をすることができるという点だ。
そして驚くべきことに遡測は、実験において量子の測定結果を90%もの精度で的中させたという。

このことから、「量子の世界では時間が過去と未来の両方向に流れているのではないか?」という仮説が出てきたんだね。

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